人を大切にする経営学会四国支部第4回例会/公開フォーラム実施報告

人を大切にする経営学会常任理事

高知工科大学教授 桂信太郎

 2017年6月16日(金)に、高知工科大学永国寺キャンパス教育研究棟(〒780-8515高知市永国寺町2-22号)において、人を大切にする経営学会四国支部第4回例会/公開フォーラムを実施しました。平日開催であったにも関わらず、講演会には90名近くのご参加をいただき、またその夜の懇親会にも43名のご参加をいただきました。

 13時から基調講演として坂本光司会長(法政大学大学院政策創造研究科教授)にご講演いただきました。「好業績企業の経営学」という演題で、8,000社余りの企業を実地調査され、得られた知見をお話いただき迫力がありました。良い会社とは(1)リストラをしていない、(2)一方的なコストダウンをしていない、(3)社員に大けがをさせていない、(4)障がい者を雇用している、(5)赤字を出さない、という企業であり、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞でも、このような企業を表彰し、応援したいとのことでした。また、この会社に学べという好業績企業事例では、(1)さくら住宅、(2)フジイコーポレーション、(3)マルト、(4)クラロン、(5)日本植生、(6)小松製菓、(7)岩の湯、(8)さいち、(9)豆子郎、(10)富士メガネ、(11)島根電工、(12)日本理化学工業、の事例を紹介されました。高知の聴講者も熱心に聞き入っておられました。

 

 その後、第2講演として渡邊法美様(高知工科大学経済・マネジメント学群長/教授)にご講演いただきました。「地域共生と大学の役割」というテーマのご講演でした。渡邊教授は、北海道大学およびジョンズ・ホプキンス大学大学院において環境保全分野のプロジェクトリスクマネジメントを専攻され、以来生涯の研究テーマとされています。地域共生やNPOについての深い造詣をお持ちです。こうしたテーマは、この学会にとっても重要な関心事であると考え、本務以外でも国や地方公共団体における様々な公職を兼務されてご多忙の中、無理を言ってこの度のご講演をお引き受けいただきました。また、東京大学の助教授、高知工科大学工学部およびマネジメント学部における教授を経て、2017年4月から経済・マネジメント学群長であり、大学教員としての経験を豊富にお持ちです。こうしたご経験を踏まえ、特に地方に位置する大学(教職員や学生)が、世界、日本、地域と、どのように有機的に結びつき、社会に対してどのような貢献ができるのかについて、お話しいただきました。講演後に、参加されていたある他大学の先生から「素晴らしいお話だった。うちの大学のコンセプトにピッタリだったので、うちの大学に渡邊教授を引き抜きたい」と言われましたので、渡邊先生にはお伝えせず、私の判断で冗談だと受け止め、お断りしておきました。

 第3講演では、第6回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員会特別賞を受賞されています四国管財株式会社代表取締役社長の中澤清一様にご講演いただきました。同社は他にも多くの表彰を受けております。四国管財株式会社はビル総合管理会社であり、オフィス、ショッピングセンター、病院などのビルクリーニング、医療機関への人的サポート業務、設備管理など、あらゆるビル管理業務を事業領域としています。同社は、顧客満足の高さや働きやすい職場として有名で、仕事は手段として関わる人を幸せにする会社経営を実践しておられます。クレームは宝の山として捉えた活動は全国的に注目されているため多くのファンがいます。その取り組みの詳細を楽しく報告いただきました。

 3つの講演に引き続いて、パネル討議が行われました。パネリストは、坂本光司会長、渡邊法美教授、四国管財の中澤社長、さらにはファーストコラボレーションの武樋泰臣社長も参加いただき、これまでの取り組みをご紹介いただきました。フロアからも活発な意見が数多く出て、皆様との意見交換ができました。進行はコメンテータの水口和寿教授(愛媛大学社会共創学部)でした。

その後、松山大学大学院修士課程に社会人大学院生として在学中の西原真治様から「良い病院診断システムの開発と県立今治病院の良い病院づくりへの取り組み」というテーマで研究報告がありました。大変興味深いテーマであったため、フロアからもよいコメントが出ました。また、高知工科大学大学院起業マネジメントコース修士課程にて社会人学生として学ばれながらinaコンサルティング代表をされている稲垣祐輔様が「中小事業者の新たな価値提供とビジネスモデル変革、中小事業者の変革へのチャレンジ」というテーマで研究発表されました。稲垣さんは家族経営企業のコンサルタントとして、これまで2,000社以上の経営改善に関与され、各社の社長さんと寄り添いながら収益改善と価値創造に挑戦されています。このご発表にたいして、坂本光司会長からは、大変貴重で温かいコメントをいただきました。今後の研究の励みになると感じました。

 17時30分からは、場所を高知城ホールに移して、懇親会を行いました。学会本部の石川勝様による司会進行とご挨拶、四国管財の中澤清一社長による乾杯の音頭でスタートしました。坂本光司会長や渡邊教授、中澤社長を囲んで、43名の参加者で活発に意見交換がなされ、大いに盛り上がりました。

四国部会例会も4回目を終えました。高知、松山、高松、高知と実施してきました。コメンテータの水口和寿教授から「四国は八十八か所のお遍路文化で成り立っている。高知、松山、高松、高知での開催は、お遍路としての順路は良いが、徳島での開催も実現してほしい。参加者にも皆勤賞の方もおられる。今後の参加される方々は、お遍路文化を感じながら参加できるのではないか」というご意見をいただきました。

今後も、中立の立場である機関である大学ができる役割を考えながら、四国部会の例会を実施したいと思います。坂本光司会長はもとより、副会長、常任理事、理事の方々をはじめ、多くの会員の方々に四国に来ていただきながら、ご講演や活発な議論を通じて、四国の方々と交流いただければと存じます。皆様のご協力をお願いします。こうした活動を通じて、人を大切にする経営学会のご発展に微力ながら貢献できればと考えております。ありがとうございました。